この記事では、 アトピーが悪化した時期に、皮膚科医の指導の元、ステロイドに頼らずにサプリメントの服用と、保湿剤の塗布で三ヶ月で健康な状態の肌に戻った時の、治療過程、治療内容について話しています。
皮膚科でのステロイドを使った標準治療
乳幼児の頃から、アトピーで皮膚科に通ってきた私。
大学生からは自分の意思で通院し、スキンケアをするように。
大人になるにつれ、
大体どこの皮膚科に行っても、大抵は保湿➕ステロイドという
標準治療なんだな〜
どこで診てもらってもあんまりかわらないなぁ
と思い始めたのが、正直なところ。
数年前からは、非ステロイド系の軟膏も使うようになり、
プロトピックやコレクチウム軟膏も使ってみましょう。
しっかり保湿し、正しい方法で薬を塗布しましょう。
定期的に通院して、良い状態をキープすることを目指しましょう!
当時の皮膚科医にはきちんと診てもらったし、今もアトピー治療の基本は変わらないと思っている。
ただ、ホルモンバランスの影響か、節目で状態が急激に悪化した時は、東洋医学の先生(漢方、鍼灸)に見てもらったり、詳しいアレルギー検査をしたことも。
イタリアに移住してからは、どこの皮膚科でもステロイドの処方→経過観察、終わり、というのに嫌気がさし、皮膚科から足が遠のく。東洋医学、という選択肢も土地柄なかった。
イタリアでの新しい治療
3年前、職業柄&コロナ対策による、手湿疹とマスクでのひどい肌荒れをきっかけに、新しい皮膚科医を紹介してもらったのが転機に…!
P先生
これは痒くて辛いよね〜。
まず、5日間だけステロイドをしっかり塗って、炎症を治めよう。
顔は皮膚が薄くなるから、ステロイドはやめておこう。
正常が皮膚に戻すのを助けるこの3つ、飲んでね。
三ヶ月かかるけど絶対良くなるよ。
私の住む街の近くに、クリニックがあるP先生。
近郊の街の病院でも、皮膚科医/アレルギー科医としても勤務していて、予約は最低三ヶ月待ち。
「この先生は、ステロイド塗って終わりじゃない!」と衝撃を受ける。
アトピー改善のための生活上の大前提
P先生が症状を聞き、診察をした後、肌の状態を改善するための大前提を話してくれた。
どれもほぼ、実行していたこと。
けれど、わざわざ話してくれる皮膚科医は初めてだった。
- 肌に触れるものは、すべてコットン製にすること。
- 柔軟剤は使わないこと。
- 海水は肌に良いが、直射日光は肌にダメージを与えるから避けること。
- 保湿をしっかりすること。
- 保護のため、また衛生上、仕事で使うビニール手袋は、肌を多湿な環境に置くことになり、負担がかかる。綿の手袋をした上で、ビニール手袋をするのが理想。無理な場合は、できるだけ使用時間を減らし、都度保湿すること。
私はハウスダストはほぼ大丈夫なため先生から特に話はなかったけれど、ハウスダスト対策も重要。
我が家で使ってる布団乾燥機と布団用クリーナーについてはこちら。
アトピー改善のために服用するサプリメント(三ヶ月)
- ビタミンD3(2,5mg ) 週に一回服用
- カシスオイルのカプセル 一日三回服用
- 乳酸菌のカプセル 一日一回、月に20日間服用、残り10日間は休止
ステロイドの塗り薬は、炎症の「火消し」に必要。ただ、しっかり塗って、5日程度に留めるように。顔には使わないように、と念をおされた。ステロイドは肌を薄くしてしまうから、と。
指定されたサプリは、ビタミンD以外はなかなか薬局には置いておらず、取り寄せたりオンラインで注文し、やっと治療開始。保湿剤も指定される。
ステロイドを常用しないアトピー治療経過
3週間目くらいから、少し痒みが和らいだように思えてくる。相変わらず日によってひどい痒みがあったりなかったりで、肌の状態は一進一退。
二ヶ月目に入ったくらいで、痒みがかなりおさまって肌が落ち着き始めたことに気づく。
三ヶ月目、手の湿疹の水疱のようなものはできなくなり、肌の色むらや皮剥けはあるものの、炎症がとれて新しい皮膚になっている!
できる限りP先生の指導に従ったものの、仕事の超繁忙期だったこの三ヶ月間。
手は厳しい環境にさらされ、生活は不規則、寝不足。疲れで食欲もなく、栄養不足。
経過観察をする余裕もなく、いつの間にか痒みが減り、掻かなくなり、肌が綺麗になってた!
というのが正直なところ。
なぜステロイドを常用せずに健康な肌に戻せたか
皮膚科医P先生の言った通り、かかった期間はぴったり三ヶ月。
ステロイドを使ったのは、始めの5日間だけ。
炎症の火消しをステロイドに手伝ってもらい、その後は時間をかけて、肌のバリア機能を回復させ、乱れた肌のターンオーバーを整え、新しい健康な肌が戻ってくるまでにかかったのが、三ヶ月なのだと思う。
それに欠かせなかった栄養素が、処方されたサプリメント。
ビタミンD
ビタミンDについて近年研究が進み、健康に対するより様々な効用があることが明らかになっています。まず、免疫力の向上やアレルギー症状を改善する作用です。ビタミンDには細菌やウイルスを殺す「カテリジン」というタンパク(抗菌ペプチド)を作らせる働きがあります。また「β-ディフェンシン」という抗菌ペプチドを皮膚上に作らせ、バリア機能を高めていることもわかっています。ビタミンDは食べ物から摂る以外に紫外線を浴びることで体内に合成されますので、紫外線が減少する冬場はビタミンDが減少し抗菌ペプチドも減少。風邪やインフルエンザにかかったりアトピー性皮膚炎が悪化しやすくなるのはそのためでもあるようです。
医療法人社団 三成会 新百合ヶ丘総合病院 HPより引用
乳酸菌
乳酸菌は、発酵食品などで見られる細菌の一群。
腸内環境に多く存在しており、消化管の健康に大きく関わっている。
- 腸内フローラのバランスを整える: 腸内には多くの種類の細菌が生息しており、乳酸菌はその中の一つ。正常な腸内細菌叢のバランスを保つのに役立っている。
- 消化器官の健康を促進する: 乳酸菌は消化器官内の悪玉菌の繁殖を抑え、消化管内の善玉菌を増やすことができる。
- 免疫機能を強化する: 乳酸菌は免疫系に影響を与え、身体の免疫機能を強化すると言われている。つまり、感染症やアレルギー反応などの疾患を予防または軽減する可能性がある。
アトピー性皮皮膚炎を持つ人は、元々消化機能が弱いと言われている。
乳酸菌を摂取することにより、腸内環境を整え、アレルギー反応を抑える効果が期待できる。
カシスオイル
ブラックカラントとも呼ばれる植物の種子から得られるオイル。
カシスの種子から採れる油(オイル)には、必須脂肪酸であるガンマリノレン酸(GLA)が多量に含まれている。このオイルは、母乳やボラージオイル、カシス、月見草油などにしか見出されていない、とても貴重な成分である。
血糖値を下げる、血圧を下げる、血中コレステロールを下げる等の基礎的な効果をはじめ、糖尿病性神経障害の予防・治療、関節リウマチ、女性特有の疾患や、乾燥肌等の皮膚のトラブルにも効果を発揮する。
カシス油の成分は、オメガ6(リノール酸 約45%、ガンマリノレン酸 約15%)が約60%、オメガ3(アルファリノレン酸)が約15%含まれている。世界保健機構(WHO)によると、オメガ6油とオメガ3油を4:1の割合で摂るのが良いと報告されており、カシス油に含まれる成分割合と一致している。
カシス油に含まれるガンマリノレン酸(GLA)は、体内でプロスタグランジンに変換され、体の機能に必要不可欠な様々な生理活性をもっている。
青い森の食材研究会 HPより引用
※青森県内の大学や試験研究機関で、「食」の機能性等を研究している研究者が発信しているHP
γ(ガンマ)リノレン酸は、デイヴィッド・ホロビン博士によってアトピー性皮膚炎に対する有効性が明らかにされ、有名になった。
ホロビン博士によると、アトピー性皮膚炎患者の血中γリノレン酸の含有量は、健常者と比べて50%しかないと解明され、ヨーロッパではアトピー性皮膚炎の治療に用いられているとのこと。
だから、イタリアの皮膚科医でカシスオイルを処方されたのか!
日本ではまだ、それほど知られてないのかも❓
処方されたこの3点については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
ステロイドを常用しないアトピー治療まとめ
今まで保湿とステロイド塗布、という標準治療をしてきた私が、イタリアで出会った皮膚科の指導でステロイドを常用することなく、アトピー肌を健康な状態に戻せた方法はこの3点。
- 5日間ステロイドで炎症を抑える。
- 三ヶ月間、ビタミンD3、乳酸菌、カシスオイルのサプリメントを摂取
- 肌に良い生活習慣を徹底する(コットンの着用、常に保湿など)
私はこの方法を通して、ステロイドの常用を避けることができ、摂取したのは、足りない栄養素を補ったり、身体が本来持つ機能を高めるように補助するサプリメントだけ。
ステロイドのように身体への負担も、副作用もない。
アトピーの状態は人それぞれだから、この治療法がすべての人に合うとは限らないし、皮膚科医に見てもらい、定期的なチェックアップは何よりも大事。
アトピーの治療は、「完治させる」ことが目標ではなく、肌の状態をコントロールして、心地よく暮らせる状態を保つことが目標だから。
その大前提を理解した上で、私の治療法が、できる限りステロイドを使わなくていい状態になりたいと思う人の参考になれば、と思っています!
このP先生との治療、今も続行中で、最近合わせて新たな治療も始めたところ。
新薬を使った治療についてはこちら
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